食品を包装して保存する場合、微生物による腐敗などの影響を防止することは最も重要です。微生物を制御する方法としては、殺菌、静菌、除菌などの方法がありますが、包装食品を安全に長期間保存するには、レトルト殺菌などの加熱殺菌が望ましいところです。しかし、食品の種類によってはレトルト殺菌することによって、おいしさが十分に保たれない場合があります。最近は、食品に対して「おいしさ」と「安全」が求められる時代となり、安全で、おいしく食品を保存する技法がいろいろと検討されることとなりました。無菌包装や無菌化包装と呼ばれる包装技法は、食品のおいしさを保ちつつ安全に保存できる方法として普及してきました。この包装技法は、微生物が包装内に侵入することを遮断する技法です。内容品は一般に熱によって殺菌され、包装材料は、熱、薬剤、あるいは放射線によって殺菌されますが、食品は包装する前に殺菌されるため、食品の品質を維持するための殺菌条件を選択できるメリットがあります。無菌充填と無菌化充填の違いについては、正確には定義付けられていませんが、最近次のように考えられています。無菌充填包装における無菌とは、商業的無菌を意味すると定義されています。商業的無菌とは食中毒菌や病原菌が存在せず、常温流通下において腐敗や変質をもたらすような微生物が存在しないことを意味します。一方、微生物的なレベルは商業的無菌まで至らないが、冷蔵などで保存時間を延長させるために無菌化処理を行う食品を無菌化包装食品と呼んでいます。
食品包装の微生物制御対策