青果物の環境ガス濃度の影響など

青果物の細胞間隙内のガス組成は、酸素が約15%、炭酸ガスが約5%です。大気のガス組成は、酸素が21%、炭酸ガス0.03%であり、この分圧差によりガス交換が進行し、呼吸作用が営まれています。したがって、環境雰囲気の酸素ガス濃度を減少させ、一方、炭酸ガス濃度を増加させると呼吸作用が抑制されます。多くの研究結果から、酸素濃度が2~5%、炭酸ガス濃度が2~10%、残りが窒素ガスであるガス組成の雰囲気では、呼吸作用が適度に抑制されることが明らかになっています。この条件は、青果物の種類や部位、熟度などによってかなり異なってきます。このように、雰囲気ガス組成を最適にして行う貯蔵は、CA貯蔵 と呼ばれ、一般には低温貯蔵との組合せによって行われています。最も普及しているのはリンゴの貯蔵で、リンゴが年中販売されているのは、このCA貯蔵を行っているお陰です。青果物の流通・販売の段階においても、包装内の環境をCA貯蔵条件に近づければ青果物の鮮度は延長可能です。しかし、包装によって理想的なCA条件を達成するのは困難なため、包装内の環境をCA条件に近づけた包装技法、所謂MA包装と一般に呼ばれるものが考えられました。ガスバリア性の高いフィルムの密封包装の場合、フィルムを通じての酸素の供給が十分でなく、袋内の酸素濃度は減少し、一方で呼吸により発生した炭酸ガスは外に放出されないため、炭酸ガス濃度が増大します。このような包装では包装内が嫌気状態となり、この状態では発酵が起こり、アルデヒドやエチルアルコールが生成され、青果物の障害や悪臭発生の原因となってしまいます。一般に青果物は微生物に汚染されやすく、微生物の発育は低温ほど抑制されるので、低温貯蔵が望ましいです。最近、カット野菜やカット果実と呼ばれる加工品を包装した商品が多く見られるようになりましたが、これらは切断という傷を受けているので特に微生物の汚染を受けやすく、低温下で取り扱うことは当然として、その他に種々の方法を工夫する必要が生じてきます。青果物は物理的損傷を受けると変質や腐敗の原因となる。特に、産地から消費地への輸送時の振動や荷扱いに注意する必要がある。果実の場合その影響が大きいので、緩衝包装などの配慮も行われています。

青果物の環境ガス濃度の影響など
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