環境温度は青果物の呼吸量と密接に関係しています。温度が10℃上昇すると呼吸量は通常の約2倍となるので、青果物の鮮度保持には低温で貯蔵することが効果的です。ところが、熱帯・亜熱帯原産のものでは、10℃までの低温に保存すると、細胞膜などに異常が生じ、細胞の機能が破壊されて低温障害を起こします。代表的なものはバナナで、12℃程度でも果皮の褐変が生じます。カボチャ、サツマイモ、トマト、オクラ、キュウリ、ナスなども低温障害を起こしやすいと言われています。収穫後に青果物の呼吸作用によって獲得されたエネルギーは、ほとんど熱として放出され、これは呼吸熱と呼ばれています。この熱を収穫後できるだけ速く除去することは、輸送中や貯蔵中の青果物の鮮度・品質保持に極めて有効で、産地で出荷前に低温処理が行われますが、この処理は予冷と呼ばれています。予冷の方法としては普通冷蔵冷却、差圧通風冷却、強制通風冷却、真空冷却などがあります。青果物は呼吸作用に伴って気孔や表皮などから水分を蒸散するため、萎れやシワが生じます。このため、環境の相対湿度を高く保つことが青果物の鮮度保持に必要です。一般に青果物の貯蔵最適湿度は、90~95%RHと言われていますが、高湿度条件を維持するためには、フィルムで密封することが有効です。しかし、湿度が高くなりすぎるとフィルム内面に水滴ができて微生物の生育・繁殖の要因となり、青果物の腐敗につながるため、防曇フィルムを使用したり、調湿シートや調湿剤を封入する包装も行われています。
青果物の鮮度に影響する要因